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面識なしの相手が逮捕!最新の動画名誉毀損事件から学ぶ「警察を動かす」証拠保全の鉄則

面識なしの相手が逮捕!最新の動画名誉毀損事件から学ぶ「警察を動かす」証拠保全の鉄則

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 ネット上の誹謗中傷や名誉毀損で悩む経営者の方から、よくこのような相談をいただきます。
「警察に相談したけれど、なかなか動いてくれない」
「匿名の書き込みだと、警察でも犯人を特定するのは難しいのではないか」

 しかし、先日発表された最新のニュースは、ネット上の悪質な名誉毀損に対して警察が厳知に対処している現実を浮き彫りにしました。

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 本件の注目すべき点は、被害者と加害者に「一切の面識がなかった」こと、そして「動画」を用いた名誉毀損であるにもかかわらず、警察の捜査によって容疑者が特定され、逮捕(強制捜査)に至ったという点です。

 「ネットの悪口だから警察は動かない」という時代は終わりました。本記事では、この事件をベースに、名誉毀損事件における警察の動きと、いざという時に警察を迅速に動かすための「証拠保全の鉄則」について解説します。


1. なぜ警察は「面識のない匿名の犯人」を逮捕できたのか?

 多くの人が「ネット上の匿名アカウントは誰だか分からないため、警察も手が出せない」と考えがちですが、それは誤りです。

 警察には強力な「捜査権限」があります。被害者から正式な告訴を受理した場合、警察は動画共有サイトの運営元やインターネットプロバイダに対して、裁判所の令状をもとに差し押さえや捜査の嘱託を行うことができます。これにより、接続ログや契約者情報を辿り、最終的に東京都内に住む容疑者を特定したのです。

 さらに、今回のケースで「逮捕」という身柄拘束に踏み切った背景には、以下の理由が考えられます。

  • 証拠隠滅の容易性: デジタルデータである動画やアカウントは、犯人が自身のデバイスから一瞬で削除できるため、証拠隠滅を防ぐために身柄を拘束する必要があった。
  • 実害の深刻さ: 文字だけの掲示板とは異なり、音声や視覚で訴えかける「動画」による名誉毀損は、被害者の社会的評価をより急速かつ深刻に失墜させるため、悪質性が高いと判断された。

2. 警察が動く「名誉毀損罪」の3つの壁

 では、なぜ冒頭で触れたように「相談しても動いてくれない」というケースが発生するのでしょうか。警察が刑事事件として本格的に動くためには、法律上の高いハードルをクリアしている必要があります。

特に重要なのが以下の3点です。

① 「事実の摘示」があること

 単なる「バカ」「無能」といった抽象的な悪口(これらは「侮辱罪」の領域になります)ではなく、「〇〇という犯罪をしている」「過去に〇〇という不祥事を起こした」といった、社会的評価を低下させる 具体的な事実の提示 が必要です(真偽は問いません)。今回の事件では、動画内で明確な「名指しでの事実の摘示」があったと推測されます。

② 「公然性」があること

 不特定、または多数の人が認識できる状態である必要があります。今回のように、誰もが視聴できる「動画共有サイト」へのアップロードは、公然性の要件を完璧に満たします。

③ 被害者からの「告訴」があること

 名誉毀損罪は、被害者が「犯人を処罰してほしい」と正式に意思表示しなければ起訴できない 「親告罪」 です。被害届を出すだけでなく、確実な告訴状の提出が警察を動かす絶対条件となります。


3. 警察を味方につけるための「初動と証拠保全」の鉄則

 もし自社や経営者個人がこのような被害に遭った場合、警察に「ただ相談する」だけでは、人手不足の警察組織を動かすことは困難です。迅速に捜査を開始してもらうためには、被害者側が 「言い逃れのできない客観的証拠」 を揃えて持参しなければなりません。

実務上、絶対に外せないステップは以下の3つです。

  1. 動画・投稿の完全な保存(URLとタイムスタンプ)
     画面のスクリーンショットだけでなく、 「ブラウザのURLバーが見える状態」 で保存してください。動画の場合は、画面録画(キャプチャ)を行い、どのURLで、いつ(日時)、どのような内容が発信されていたかを明確に記録します。

  2. ログが消える前の「スピード勝負」
     ネット上の通信ログ(IPアドレスなど)は、プロバイダ側で数ヶ月(携帯回線では約3ヶ月)で自動消去されてしまいます。ログが消えてしまえば、警察であっても犯人を特定することは不可能です。「様子を見よう」という数日間の躊躇が、犯人を逃がす原因になります。

  3. 専門家や監視サービスの活用
     いつ、どこで悪質な動画や投稿が上がったのかをいち早く検知し、証拠を保全する体制を整えておくことが、警察へのスムーズな相談へと繋がります。

  4. YouTube等の仕様における「匿名性の限界」と「特定の足跡」
       もう一つの大きなポイントは、動画共有サイト(特にYouTubeなど)の登録仕様に関わる「犯人の足跡」です。
     一般的に、これらのサイトは匿名性の高いフリーメールアドレスさえあればアカウントを開設し、動画をアップロードすること自体は可能です。そのため、一見すると「捨て垢(使い捨てアカウント)」を使われれば特定が難しいようにも思えます。
     しかし、プラットフォーム側は悪質なスパムや無断転載を防ぐため、動画に「カスタムサムネイル(独自の表紙画像)」を設定したり、15分を超える長尺の動画を投稿したりする際には、 「電話番号によるアカウント確認(SMS認証)」 を必須としています。
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 つまり、加害者が動画を目立たせようとしたり、凝った編集を加えるなどして「コンテンツに手を加えようとした」場合、必ずどこかで電話番号などの個人を識別できる強力な追加情報を提供せざるを得なくなります。今回の事件でも、加害者が何らかの形でプラットフォーム側に 特定に繋がる足跡を残していた (あるいは警察がその登録情報へと的確に辿り着いた)からこそ、スムーズな逮捕へと結びついたと考えられます。


まとめ:企業が取るべき自衛策

 今回の事件が示すように、ネット上の名誉毀損は「面識のない第三者」から、ある日突然、動画という非常に強力なメディアを使って仕掛けられるリスクがあります。

 被害が発生した際に、警察や裁判所といった国家権力を味方につけて犯人を徹底的に追い詰めるためには、 「誰よりも早く被害を察知し、ログが消える前に証拠を押さえること」 がすべての前提となります。

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